目次
ソーシャルレンディングの歴史
ここでは、ソーシャルレンディングの歴史について簡単に説明していきましょう。
ソーシャルレンディングはいつからあるものなのか、どのような歴史を辿って、今の日本に根付いてきているのか。
初めは個人間同士で融資できるサービスだったソーシャルレンディングが、今では個人対企業にまでできるほど成長し、日本でもたくさんの投資が行われています。
ソーシャルレンディングの歴史はまだまだ浅く、理解するのも簡単です。ソーシャルレンディングはまだまだ未完成なところもあり、今後も今のようにローリスクミドルリターンな投資ができるのかは分かりません。ソーシャルレンディングの歴史の成り立ちを知っておくだけでも、今後の展望が読みやすく、時代の変化に流されないで上手にソーシャルレンディングと付き合っていけるはずです。
2002年にイギリスで誕生
2002年にイギリスでVirGinMoneyというサービスが開始されました。これがソーシャルレンディングの骨組みの基盤となったサービスです。
VirginMoneyは、知り合い同士で個人間融資が行えるサービスであり、この頃からインターネットを利用した融資というサービスが注目をあびるようになりました。
2005年が転換期
2005年に世界で初めて、知らない人同士で融資を行うことができるソーシャルレンディングをイギリスのZopaが始めました。その後、Zopaができた1年後の2006年にはアメリカでProsper、2007年にLendingClubとアメリカもソーシャルレンディング事業を次々に展開していきます。
その後は中国や韓国でもソーシャルレンディング事業が始まりました。今では紹介しきれないほど多くのソーシャルレンディングの事業が起ち上がっており、盛んに投資が行われています。
2008年10月に日本で始まる
そして、2008年10月に日本初のソーシャルレンディングを「maneo」が起ち上げました。maneoは今でも日本でトップクラスのソーシャルレンディングです。案件も多く、利回りも良いことから多くの投資家が利用しています。
maneoがソーシャルレンディングを初めてから、日本でも火を噴くように次々とソーシャルレンディング事業が立ち上がり始めていきました。2009年12月には「AQUSH」2011年3月にはSBIグループの「SBIソーシャルレンディング」2013年10月に「クラウドバンク」がサービスを開始しました。
その後は1年の間に何社ものソーシャルレンディング事業者が起ち上がっており、今後も続々と出てくることは間違いありません。
企業名 | サービス開始 | 特徴 |
maneo(マネオ) | 2008年10月 | 日本初のソーシャルレンディング |
AQUSH(アクシュ) | 2009年12月 | 世界最大規模のLendingClubと提携 |
SBIソーシャルレンディング | 2011年3月 | SBIグループの子会社 |
クラウドバンク | 2013年10月 | 案件が多種類ある |
クラウドクレジット | 2014年6月 | 新興国の小口債権を中心に取り扱っている海外特化 |
Owners Book (オーナーズブック) | 2014年9月 | 業界初の不動産特化型 |
Lucky Bank (ラッキーバンク) | 2014年11月 | 不動産に特化 |
スマートエクイティ | 2015年5月 | 買い取った債権をファンド化 |
LCレンディング | 2015年7月 | 不動産特化型 |
GAIA FUNDING (ガイアファンディング) | 2015年10月 | アメリカの不動産開発企業に特化 |
Trust Lending (トラストレンディング) | 2015年11月 | 高利回りのファンドが多い |
Crowd Lease (クラウドリース) | 2016年2月 | 不動産案件が中心 |
Smart Lend (スマートレンド) | 2016年4月 | maneoと業務委託契約 |
みんなのクレジット | 〃 | ※現在業務停止中 |
TATERU FUNDING (タテルファンディング) | 〃 | 不動産事業に強いインベーダーズクラウド社が運営 |
AMERICAN FUNDING | 2016年7月 | アメリカの不動産案件に特化 |
国内のソーシャルレンディング事業者だけでもこれだけの数があります。今後もどんどん増えていくことが予想されますので、投資先に悩んでしまう人も多いでしょう。
国によって変わるソーシャルレンディングの歴史
先程の表で日本のソーシャルレンディングの歴史を見ていただいて分かるように、日本のソーシャルレンディングは個人対企業のものしか扱っていません。
実は外国を見ていると個人対個人の投資はアメリカや中国では活発的に行われています。
日本でも2011年までmaneoが個人向けローンを手がけていたのですが、詐欺や被害トラブルが多発し、10%以上の貸倒れが発生したため、日本ではあまり取り扱わないようになりました。
このように、ソーシャルレンディングは新しい事業のため、国によって在り方も大きく変わります。日本ではほとんどが企業向けローンですが、個人向けローンを主流にしているソーシャルレンディングも外国にあるのは事実です。
国によって毛色の違うソーシャルレンディング事業ですが、今後もどんどん歴史が変わっていくことは予想できます。
日本のソーシャルレンディングの歴史にも異変が...
2015年7月にクラウドバンクが3ヶ月の業務停止命令
・分別管理を適切に行っていない状況
・顧客に対し必要な情報を適切に通知していないと認められる状況
クラウドバンクは上の2つの指摘を財務局から受けました。
クラウドバンクは日本でも大手のソーシャルレンディング事業者であり、取引量が増えたのが原因だったと言われています。
取引量が増えたものの、システムが追いつかなかったため、分散管理が適切にされておらず、報告書も対応しきれなかったようです。
クラウドバンクの場合は、投資家から集めた資金の私的流用に使われたわけではなかったため、多くの投資家が安心はしたものの、資金管理がずさんになってしまったことには事実でしょう。
この事件以降、ソーシャルレンディングのリスクは貸倒れだけではなく、事業者の管理不足という面でもリスクに挙げられるようになりました。
2017年3月にみんなのクレジットが行政処分により業務停止に
クラウドバンクと同じような事が起きました。ソーシャルレンディングのリスクがまたしても顕在化された事件として歴史に残るでしょう。
何を違反していたか簡単にまとめてみました。
・投資家に説明していた貸付先ではなく、親会社とグループ会社に貸し付けていた。
・投資家への返済は融資先の不動産事業で得た収益を当てるのがセオリーにも関わらず、別のファンドが流用されていた。
・担保を不動産や有価証券を設定していると表示していたにも関わらず、担保が事実と違ったり、担保が設定されていないファンドもあった。
証券取引等監視委員会の行政処分勧告内容が、クラウドバンクのときよりも酷いものだったため「一時は投資したお金が返ってこないのではないか?」と危惧されていました。
しかし、実際は1ヶ月の業務停止命令と業務改善命令が出ただけで終わり、投資した元金も利子付きでしっかり払われています。
日本のソーシャルレンディングは今が歴史の分岐点
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日本のソーシャルレンディングは、2008年にmaneoから始まり、2014年から事業者の数が爆発的に増えています。
そのような中で、クラウドバンクとみんなのクレジットの管理がずさんなことが分かり、今後も同じような事業者が出てくる可能性は低いとは言えません。
まだまだ発展途上の感じのあるソーシャルレンディングですが、事業者の管理体制もリスクに入れて投資する必要性が増しています。
今後は事業者の管理体制が強化されていくのか?または、同じことが繰り返されるのか?ここがソーシャルレンディングの歴史の分岐点となりそうです。
今後もソーシャルレンディングの歴史は大きく動いていきそうですが、ローリスクミドルリターンのおいしい投資であることはまだまだ変わりません。
ソーシャルレンディングの歴史をしっかり把握しながら、これからも投資を続けていければと思います。