「ソーシャルレンディングは税金がかかるの?」
「利益分は確定申告が必要?」
ソーシャルレンディングは魅力のある資産運用の1つですが、あんまり稼ぎすぎると税金がかかるのではないかと心配になってしまいます。
そこで今回はソーシャルレンディングで得た利益に対してどのような税金がかかるのか詳しくまとめてみました。
※著者は税務関係の従事者でないので、詳細については税理士にお尋ねください。あくまで事前知識として参考にしてください。
目次
ソーシャルレンディングは既に税金が差し引かれている
日本では利益を得た場合、税金を払わなければいけないケースが多いです。
株やFXなどの資産運用で得た利益から税金を支払っているように、ソーシャルレンディングも税金を支払う必要があります。
ただソーシャルレンディングで資産運用を経験している人は知っていると思いますが、ソーシャルレンディングでは分配金を受け取る時、既に源泉徴収が引かれて渡されているはずです。
つまりソーシャルレンディングでは分配金を受け取っている時点で税金を払っている状態だと言えます。
「既に税金を支払っているということは確定申告は必要ないの?」
という風に考えがちですが、人によっては確定申告をする必要があります。
源泉徴収とは「前もって支払っておく税金の仮払」のようなものですので、確定した税金ではないのです。
所得によって税率は変わりますので、源泉徴収しているとはいっても、確定申告をして本来支払うべき金額を決めなければいけません。
ただ投資家によっては確定申告をする必要がある人と必要のない人に分かれますので、まずは自分が確定申告をしなければいけないのか、つまり税金を追加で払わないといけないのか確認しましょう。
しかしソーシャルレンディングによって得た利益が何所得になるのかが分かっていないと、確定申告する必要があるのか分かりません。まずは基礎的なところからまとめてみましたので、確認していきましょう。
ソーシャルレンディングは何所得になるの?
確定申告と言えば、様々な種類の所得区分があります。
あなたが会社からもらっている所得は給与所得ですし、個人事業を営んでいる人は事業所得になるでしょう。
所得区分によって支払うべき税金の税率が変わりますし、ソーシャルレンディングの所得が何所得になるかは把握しておきましょう。
分配金は雑所得
ソーシャルレンディングで投資した結果、分配金と言うかたちで利息を受け取ります。
その分配金は雑所得として扱うのが一般的です。
よく事業所得として計上したいと考える人もいますが、ソーシャルレンディングの利益ははお金を貸し付けて得る利益となります。貸付金の利息ですので、個人で賃金業を営んでいる人でないと事業所得として計上するのは難しいでしょう。
また税務署によっては賃金業を営んでいる人でも雑所得扱いとするように言われることもありますので、賃金業を営んでいて事業所得として計上したい場合は近くの税務署へ確認してみることをおすすめします。
雑所得として計上するのが一番無難ですので、今回は分配金を雑所得として扱うことを前提に話を進めていきましょう。
キャンペーンのキャッシュバックは一時所得
ソーシャルレンディングの分配金は雑所得扱いですが、キャンペーンで行われるキャッシュバックに関しては一時所得扱いです。
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
この所得には、次のようなものがあります。(1) 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
(2) 競馬や競輪の払戻金
(3) 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
(4) 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます。)
(5) 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等(※国税庁HPより引用)
つまりソーシャルレンディングの分配金は利益を出すために貸し付けているのに比べて、キャッシュバックキャンペーンは偶然得ることのできた一時的な収入ですので、一時所得となるのです。
一時所得には50万円の特別控除がありますので、福引などの懸賞や競馬、競輪などをしていない場合はよっぽどのことがない限り、税金として支払うことはありません。
もしあなたが競馬をしていて、競馬による所得とキャッシュバックに寄る所得を合わせて50万円以上になるのであれば、確定申告が必要になり、税金を支払う必要が出てきます。
ソーシャルレンディング以外の収入も考えて確定申告の必要性が変わる
一時所得に関してはよっぽどのことがない限り、申告する必要が無いため割愛しますが、問題は雑所得となるソーシャルレンディング分配金にかかる税金です。
雑所得に関する決まりでは「雑所得が20万円以上を超えた場合は確定申告する」必要がありますので、人によっては分配金以外の収入に関する心配をする必要があります。
つまりソーシャルレンディングで得た利益が20万円未満でも他に雑所得があれば確定申告する必要があるのです。
雑所得とは「どの所得区分にも属さない所得」であり、その他の所得と考えると良いでしょう。
【雑所得以外の所得区分】
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
上記9つに該当しない所得は全て雑所得に当てはまります。
例えばインターネットオークションなどに転売して得た利益は雑所得です。
ソーシャルレンディングの利益と他の雑所得を足して20万円以上なら確定申告が必要になります。
確定申告については別の記事で詳しくまとめていますので、確定申告が必要そうな人は参考にしてみてください。
ソーシャルレンディングの確定申告は必要なの?あなたはどっち?
課税方法はどうなっているの?
ソーシャルレンディングの主たる利益にあたる分配金ですが、雑所得ですので、課税方法は総合課税にあたります。
総合課税とは退職所得と山林所得以外の所得を合算した金額に対して課税される制度です。
計算した結果の総所得次第であなたの雑所得にかかる税金額は変わります。そのため確定申告が必要になった方は雑所得の金額だけでなく、総所得を計算することでどれくらい税金がかかるのか計算することが可能です。
税率の計算の仕方は?
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総合課税で支払うべき税金の税率は以下のようになっています。
課税所得金額 | 税率 | 課税控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超えるかつ330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超えるかつ695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超えるかつ900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超えるかつ1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超えるかつ4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
事前に分配金から引かれている源泉徴収は所得税10%を想定して引かれているため、あなたの所得が330万円を超える場合は追加で納税する必要が出てきます。
ただ総所得が330万円以下であれば、追加の税金がないものの、確定申告しなくていいというわけではありませんので、注意しましょう。
雑所得が20万円以上なら確定申告は必要です。
ちなみに雑所得が20万円以下でも、総所得が195万円以下の場合は確定申告すると還付金が返ってきます。195万円以下であれば、税率は5%ですので、事前に10%引かれている分から半分を取り戻すことが可能です。還付金は確定申告をしなければもらえませんので、所得が195万円以下の場合は確定申告をしたほうが良いでしょう。
税金から逃げずに確定申告するように
確定申告は面倒ですが、税金を払わないと後から大変なことになります。
もしあなたが確定申告を忘れていて税金を支払っていなくても、税務署はすぐに来ません。
数年後にまとめて税務調査して、追加徴税を要求してきます。追加徴税された場合は、納税が延滞扱いされていますので、本来支払うべき税率よりも高い税率で支払うよう命じられますので、一気に手元からお金がなくなることも珍しくありません。
「知らなかった」では済まされないのが日本の税金制度ですので、確定申告の必要がある方は、忘れずに税金を納めるようにしましょう。