FXでは「維持率」と呼ばれるものがあり、リスク管理の指標の1つとして使われています。
「トラリピしたいんだけど維持率はどのくらいを目安にしたらいい?」
「維持率はどれくらい高ければ安全なの?」
このように疑問を持つ人もいますが、結論から言いますとトラリピにおいて維持率はそんなに高くなくても問題ありません。
ただある程度の維持率はやはり必要なので、今回はトラリピするにあたって維持率の目安やどれくらいあれば安全と言えるのかまとめてみました。
目次
そもそもトラリピの維持率とは?
「そもそも維持率って何?」
と疑問を持っている人向けに説明すると、維持率とはロスカットの目安指標となるものであり、維持率が高ければ高いほど口座内に資金余力があるということになります。
つまり維持率が低ければ低いほどロスカットするリスクが低いと言えます。
特に維持率が100%以下だとレバレッジをかける証拠金が足りないということで、強制ロスカットされてしまうので1つの指標にしましょう。
トラリピの維持率の計算方法
維持率=時価残高÷証拠金必要額×100
維持率の計算方法は上図のようにできます。(マネースクエア公式サイトより引用)
維持率が高ければ高いほどロスカットする可能性が下がるのですが、維持率は変動しますので、維持率だけでロスカットのリスクを見るのではなく、ロスカットされないためにどう言う計算をすればよいのか知っておくことが大切です。
ただ維持率の計算式だと分かりにくいので、もう少し分かりやすく考えましょう。
トラリピにはらくトラ運用資産表がありますので、この資産表を参考に解説していきます。
これからトラリピをするにあたってリスクを考えるときもこの資産表を使っていくことになりますので、こちらで理解した方が早いでしょう。
ちなみにらくトラ運用資産表は口座開設している人なら利用可能です。
まずは開設する前に用語の確認をしておきましょう。
「維持率=時価残高÷証拠金必要額×100」
時価残高とは「口座内に入金する金額」+「評価損益金」のことを指します。
評価損益金とは取引するにあたって発生する損益のこと
分かりやすく言うと
・トラリピを始めて1,000円儲けたら+1,000円
・トラリピを始めて1,000円損したらー1,000円
という風に動くと思ってください。
これを踏まえたうえで解説していきます。
先ほどの公式に当てはめると下記のようになります。
時価残高÷証拠金必要額×100
=(口座内に入金している金額+②評価損益金)÷①証拠金必要額×100
=(300,000-42,000)÷67,200×100
=258,000÷67,200×100
=383.9285...
※ここは仮に30万円入金したとしています
これで維持率は383%と計算できました。実際にらくトラ運用資産表と同じ数値になっていますね。
上部にあるプランを自分なりに設定すると、維持率の計算に必要な金額が全て出てきます。
ちなみに②の「すべて成立時の評価損」とは、分かりやすく言うと「決済されずにすべてのポジションを購入したときの評価損金」のことです。
つまり②より金額が下がることはありません。
トラリピで維持率を動かすためにはどうするの?
(口座内に入金している金額+②評価損益金)÷①証拠金必要額×100
ちなみに維持率は100を下回ると、ロスカットされてしまいます。
ただ維持率の計算式からみても分かる通り「口座内に入金している金額」と「評価損益金」を足したものが証拠金必要額を上回れば、100を下回りません。
つまり維持率を上げるためには
- 口座内への入金額を増やす
- 証拠金必要額を減らす
この2つの考えが必要です。
1.に関しては、ただ現金を入れるだけでいいので、理解できると思いますが、2.の証拠金必要額はどうすれば小さくなるのか疑問に思う人も多いので、解説しておきます。
証拠金必要額を動かす要素はこの3つです。
【証拠金必要額に影響するもの】
- 仕掛けるレンジ幅
- レンジ内に仕掛けるトラップ本数
- トラップ1本あたりに取引する通貨量
基本的にこのように動かせば証拠金必要額は安くなります。
- レンジ幅を下に動かす
- トラップ本数を減らす
- 通貨量を減らす
要するに取引する際に必要な金額が下がれば、必要な証拠金は安くなるのです。
レンジ幅を78~82円から76~80円まで下げれば、購入するときの価格が安いわけなので、必要な証拠金も減ります。
またトラップ本数と通貨量が多ければ多いほど、取引量が増えるため、最大量まで購入した際にかかる金額は比例して大きくなるものです。
実際に設定してみて「この維持率は低いかな?」と不安になったら、この辺を動かして調整してみてください。
トラリピの維持率は700%~1,000%が安全という意見もあるが...
投資家によっては維持率を700%~1,000%ぐらい高めておくのが安全という意見もあります。
確かに維持率はあればあるだけリスクが減るのは確かなのですが、トラリピにおいてはそこまで高い維持率を作らなくてもリスクの低い投資は可能です。
要はロスカットされなければよいので、ここ数十年のチャートを見て、最低値までロスカットに至る限度額を小さくできれば、維持率が100%でもよっぽどのことがない限りはロスカットしないでしょう。
例えば豪ドル/円で見たとき、リーマンショックが過ぎたあとのここ9年近くは最低値が72.25円です。
通貨の価値はよっぽどのことがないと下に抜けたり上に抜けたりはしませんので、ロスカット値が70円以下に設定してあれば、維持率が700~1,000%なくてもほとんど大丈夫でしょう。
特に資金が少ない中でトラリピを始めたいという方は、あまり維持率にこだりすぎてしまうと、トラップ幅やトラップの本数を減らしてしまわないといけなくなり、その分利益も減ります。
維持率を重視しすぎてしまうと、ほとんど利益が出ないということもありますので、700%も目指さない方がいいです。
ロスカットしない範囲をしっかり定めれば維持率300%が目安
トラリピにおける維持率はだいたい300%を目安にするとよいです。
300%ぐらいであれば、万が一にロスカットが起きても、返済額が支払えるぐらいの設定になりますので、負債を抱えるということもないでしょう。
またらくトラ運用資産表に出てくる維持率は、最も低いときの維持率を表示しています。
そのため「資産表で300%を突破する」かつ「ロスカット値まで価格が下がらないという自信」の2つが揃っていれば、低予算でもローリスクで運用できると考えています。
トラリピにおいて維持率はそんなに気にしなくてOK
今回はトラリピにおける維持率がどれくらいを目安に安全と言えるのかまとめてみました。
最後にまとめると
- ロスカット値まで価格が下がらないという自信があればさほど維持率を気にする必要はない
- だいたい300%も維持率があればロスカットしても負債は抱えない
資産が十分にある人は維持率を500%や1,000%にまであげるよう口座に余力を残して安心して運用するのも良いでしょう。
ただ数十万円くらいの低予算で運用する場合は、トラップ幅を狭めたり、トラップ本数を少なくして維持率を上げても、決済の数が減って利回りが思うように出にくいです。
初めてトラリピを低予算でするのであれば、維持率は300%ほどにして絶対にロスカットしないであろう価格にロスカットが設定するようにしておきましょう。
【おまけ】
最後に30万で豪ドル円を運用する場合の参考例を載せておきます。
口座にいれる金額は30万。
ロスカット値は70円以下に設定しているので、リーマンショックレベルの経済危機が来ないとロスカットしないであろう設定になっています。
トラップ値幅は0.2円なので、1日に1~3度500円の利益が出るような設定です。
※もちろん設定するトラップ幅で変わります。そのときにどの価格帯でレンジ相場になっているかは時期によるので!