「ソーシャルレンディングの分散投資ってどうやるの?」
「分散投資を意識してみたけどこれで大丈夫かが心配」
ソーシャルレンディングでは分散投資することが大事!
と様々な投資家が言ってはいるものの、実際にどう分散させれば、リスク低減につながるのか具体的に分かっていない人も多いです。
「とりあえず募集中の5つのファンドに5万円ずつ投資しよう!」
と言った分散投資をしていると、いつか失敗します。
今回はソーシャルレンディング初心者向けに分散投資の考え方ややり方についてまとめてみました。
目次
ソーシャルレンディングでの分散投資はリスク低減につながる
ソーシャルレンディングをはじめ、投資において分散投資は必須条件といってもいいぐらい必ずした方が良いです。
【分散投資していない例】
- 利回り10%の案件Aに100万投資⇒失敗して損失
【分散投資した例】
- 利回り10%の案件Aに50万投資⇒失敗して損失
- 利回り8%の案件Bに50万投資⇒成功して利益発生
⇒案件Bで生まれた利益で、損失分をある程度補填できる
分散投資をすれば、このように1つの案件がもし失敗したとしても、他に投資した分でリカバリーできます。
もしどちらも投資に成功した場合は、利回りの高いA案件に集中投資したほうが利益は高いでしょう。
ただその差は数%しかありませんし、数%のために元金の一部を失ってしまうのはハイリスクローリターンです。
※ソーシャルレンディングで元本すべてが持っていかれるのはほぼない。
もちろん最大の利益を出すために「これはうまくいく!」と確信したものに集中投資するのが一番良いのですが、確信できるほどの知識や分析力を持っている人はなかなかいません。
「これは絶対に儲かる!...だけど万が一のリスクもあるな...」
といった風に、いくら投資したいと思った案件があっても、何かしらのリスクはあるものです。
特にソーシャルレンディングにおいては投資先の企業についての情報を一部しか知ることができないぶん、集中投資によるリスクは高いと言えます。
集中投資によるリスクと利回りを考えれば、分散投資したほうが、少し利回りを抑えるだけでかなりのリスク低減を狙うことが可能です。
分散投資を勘違い?ソーシャルレンディングで失敗する人がやってしまうこと
「僕はちゃんと分散投資してるよ!」と言う人に話を聞いてみると、分散投資してるつもりで分散投資できていない人をたまに見かけます。
というのも、ソーシャルレンディング事業者によっては、同じ会社に対する出資金を複数の案件に分けて募集することも珍しくありません。
例えば上の画像だと、号数が違うだけで出資先の企業は全て同じです。
これだと4つに分散投資したとしても、その企業がこけてしまえば、4つの投資先とも元本割れしてしまうかもしれません。
4つに分散させたつもりが、実は1つの企業に集中投資していることになっているのです。
もしこのように勘違いして分散投資していた人は、もう一度分散投資とは何なのかを学んだ方が良いでしょう。
このまま投資していると痛い損失をくらってしまうかもしれません。
ソーシャルレンディングで分散投資するときのポイントは4つ
今回はソーシャルレンディングに置いて分散投資するときの4つのポイントをまとめてみました。
- 投資テーマを分散させる
- 事業者を分散させる
- 運用期間を分散させる
- 国内と海外で分散させる
できるだけ多くのポイントを守って分散投資することで、効率の良い分散投資ができるので、これからソーシャルレンディングで投資する際は、この4つのポイントに気をつけて分散投資するのをおすすめします。
投資テーマは必ず分散させる!不動産ばかりではダメ
ソーシャルレンディングでは様々な投資ジャンルがあります。
【ソーシャルレンディングである主な投資テーマ】
- 不動産
- 事業性資金
- エネルギー関連
- 個人ローン
ソーシャルレンディングでリスクを抑えるのであれば、それぞれのテーマに分散投資するのがおすすめです。
ちなみに日本のソーシャルレンディングを見ると、圧倒的に多いのが不動産関連の案件。
オーナーズブックやラッキーバンクなど不動産に特化している事業者が多いため、不動産投資しかしていない人もいるかもしれません。
仮に不動産のみの投資をしているとしましょう。
もし不動産関連の市況が大きく傾いてしまったとき、不動産関連で分散投資していても、多くの案件が頓挫して損失が出てしまう可能性があります。
不動産のみならずどの投資テーマでもいつ失敗するか分かりません。
またソーシャルレンディングでは年単位も投資金を貸し出したままになりますので、その長い期間の間にどう市況が傾くか判断するのは難しいです。
ちなみに私は「不動産」「事業性資金」「エネルギー関連」の3種に分散投資しています。
現状だと「個人ローン」は利回りが高くなりやすいものの、貸し倒れするリスクが高いので、あまりおすすめしません。
もちろん利回り重視で投資したい方は、目を向けても良いと思いますが、日本のソーシャルレンディング事業者はこれまでに個人ローンで失敗してきています。
あの大手のmaneoでさえ、過去に個人ローンを取り扱った結果、元本割れが相次いで個人ローンから撤退したぐらいです。
また個人ローンを取り扱っていたAQUSHは運営をすでに停止させています。
個人ローンでしっかり返済させると言うのは、ソーシャルレンディング業界だとまだまだ難しいのが現状です。
できるだけリスクを減らして運用したい方は「個人ローン」を抜かして「不動産」「事業性資金」「エネルギー関連」の3種に分散投資するようおすすめします。
事業者を分散させる
近年、数多くのソーシャルレンディング事業者が運営を始めており、今では25近くのソーシャルレンディング事業者がいます。
分散投資でリスク低減率を上げるのであれば、事業者も分散させましょう。
2018年5月にラッキーバンク、2018年11月にmaneoが複数案件で返済遅延するなど、事業者によっては損失が出てしまうこともあります。
私たち投資家は投資先の企業がどういう企業なのかを大まかにしか知ることができないため、しっかり返済能力のある企業なのか判断できません。
そのためソーシャルレンディングで投資するときは、ソーシャルレンディング事業者を信用して投資しなければいけないです。
ただここ数年で運営を開始した事業者の中には、新規投資家を集めようと無理に高い利回りを設定し、返済遅延を引き起こしてしまうところもあります。
「この事業者は絶対に安全だ!」と言い切れるところは今のところありませんし、今後も出てくることはないでしょう。
特にまだ運営が始まって3年ほどしかたっていないソーシャルレンディング事業者を使っている方は、できるだけ事業者も分散させて投資するのをおすすめします。
ソーシャルレンディング事業者によって扱っているテーマは違いますので、それぞれ特化したものがあるソーシャルレンディング事業者をいくつか選んでみるとよいです。
ここでは2018年11月現在で3年以上運営しているソーシャルレンディング事業者がどのテーマを取り扱っているのかまとめておきます。
【4年以上運営しているソーシャルレンディング事業者】
- maneo
⇒不動産、事業性資金、エネルギー関連 - SBIソーシャルレンディング
⇒不動産、事業性資金、エネルギー関連 - クラウドバンク
⇒不動産、事業性資金、エネルギー関連 - クラウドクレジット(海外案件に特化)
⇒不動産、事業性資金、個人ローン - オーナーズブック
⇒不動産
運用期間を分散させる
ソーシャルレンディングは案件によって運用期間が異なります。
短い運用期間であれば2か月、長い運用期間であれば4年のものまで案件によって様々です。
ただ3か月~13か月ほどの運用期間の案件をメインに扱っていたり、1年以上の案件をメインに扱っていたりなど、案件の運用期間の長さはそれぞれの事業者ごとに特徴があります。
運用期間の長短を調整するのもリスク低減につながるとも言えるでしょう。
というのも運用期間が短いものはそれだけ借りた資金を早めに返す目途が立っているとも言えます。
ただ運用期間が短いと利回りが低かったり、再投資までのインターバルに資金が運用できないなどのデメリットがあるのも事実です。
リスク低減を取るなら短期運用。
利回りを取るなら長期運用。
短期運用の場合、資金を返済する目途が高い分、早期返済されることもよくあります。そうなると利回りが予定よりだいぶ減ってしまうため、ソーシャルレンディングは長期運用と短期運用を組み合わせるのがおすすめです。
たいていのソーシャルレンディング事業者は1年以上の案件を抱えていますが、数か月程度の運用期間が短いソーシャルレンディング事業者はなかなかいません。
クラウドバンクは3か月~7か月のファンドばかり扱っていますので、短い運用期間で投資するならクラウドバンク。
長い運用期間で投資するならその他のソーシャルレンディングを選ぶとよいでしょう。
国内と海外で分散させる
ソーシャルレンディング事業者によっては国内の案件をメインに抱えるところと海外の案件をメインに抱える事業者に分かれます。
国内と海外ではリスクの種類も変わってくるため、できれば分散投資した方が良いポイントです。
【国内案件と海外案件の違い】
- 海外案件は外貨建てだと為替相場の影響を受ける
- 日本の経済がダメージを受けても海外案件ならダメージを受けない
この2つの違いはデメリットともメリットともとれるものがあるため、うまく分散投資してリスクを最大限まで低減させたいところです。
海外案件は外貨建てだと為替相場の影響を受ける
まず海外案件は為替相場の影響を受けるため、あまり海外案件に比重を置くのはリスキーです。
海外の案件だと、日本円建てではなく、外貨建てで運用されるため、投資時と返還時に両替があります。
この2つの両替時で為替相場が違えば、その差額分損してしまうことがあるのです。
特に新興国の通貨だと、国の情勢が動きやすく、為替相場にも大きく影響します。
つまり投資先の事業がうまくいっても、為替相場のせいで損をしてしまうこともあるのです。
例:1ドル100円で貸したものの、返すころは1ドル90円の相場に変化しており、1.1ドル99円しか返ってこなかった。
利子付きで1.1ドルもらったのに1円損してしまう...
ただ逆のパターンもありますので、為替のおかげで予定より大きくリターンを得るケースもあります。
現にクラウドクレジットの「カメルーン中小事業者支援プロジェクト」では年利28%越えの案件も発生しており、財布がかなりホクホクした人もいました。
為替相場の影響を受けるのは、ハイリスクでもありながらハイリターンでもあります。
日本の経済がダメージを受けても海外案件ならダメージを受けない
かといって国内の案件ばかりに投資するのもよくありません。
もし日本の経済に何かしらのダメージが入った場合、どのテーマに投資していても、損失を被ってしまう可能性があります。
ただ海外案件でハイリスクハイリターンな投資をするのも怖いです。
もしあなたがリスク低減重視で海外案件に投資したいと言うのであれば、為替ヘッジありの海外案件へ投資するようおすすめします。
為替ヘッジありの案件は海外案件ながらも、為替損益分をソーシャルレンディング事業者側が受け持ってくれるため、為替相場の影響を受けない海外案件への投資が実現可能です。
為替ヘッジありの海外案件へ投資できれば、単純にカントリーリスクを低減できますので、分散投資をするなら必ず押さえておきたい案件と言えます。
しかし新興国は経済の上下が激しいので、いくら分散投資といってもあまりおすすめはしません。
できれば経済が安定している先進国の海外案件を重視して買うのが効果的なリスク低減に繋がります。
まとめると
リスク軽減を重視して分散投資したい方は「為替ヘッジありの海外案件」をメインに投資。
ちょっとした賭けで為替相場のうまみが欲しい方は、少し為替ヘッジなしの案件を取り入れていく...
と言う風に調整するとよいでしょう。
うまくソーシャルレンディングで分散投資する例
- 投資テーマを分散させる
- 事業者を分散させる
- 運用期間を分散させる
- 国内と海外で分散させる
ソーシャルレンディングでリスク低減を狙った分散投資のコツを紹介しました。
ここからは実際に私がやっている分散投資をもとに例を紹介します。
分散投資する際の参考にしてみてください。
【分散投資の参考例】
- クラウドバンクで「エネルギー関連」「事業性資金」へ投資(3~7か月程度)
- クラウドクレジットで海外の「事業性資金」(13か月程度)
- クラウドバンクで「不動産」(24か月程度)
- オーナーズブックで「不動産」(1年程度)
この例の特徴をあげると
- 使っているソーシャルレンディング事業者は3社
- 投資テーマを3種に分散(個人ローンは高リスクなので外す)
- 運用期間は3か月~2年
- 海外案件を入れている(リスクヘッジなしとリスクヘッジありを混合)
これなら今回紹介した4つのポイントを押さえた分散投資になっており、リスクは限りなく低くなっています。
この場合だともう少しソーシャルレンディング事業者の数を5~10社に増やして分散させたり、クラウドクレジットのリスクヘッジなし案件をやめたりなどすればもっとリスクは低くなるのが分かりますね。
もう少し利回りを攻めたい方は海外案件を増やしたり、個人ローンを入れたり、運用期間を長めのものにしたりなどするとよいです。
案件によって利回りが変わりますので、あなたがどれだけリスクを取って、どれだけ利益を取りたいかでバランスを変えていくようおすすめします。
うまく分散投資させればマイナスになることはほとんどない
ソーシャルレンディングはもともと他の投資に比べて、それほどリスクの高い投資法ではありません。
ただ最近はラッキーバンクやmaneoで返済の遅延が生じていることもあり、うまくリスク分散しないと損失ばかり抱えてしまうかもしれません。
しかし今回紹介したように4つのポイントに注意して分散投資しておけば、万が一の時に損失をリカバリーできます。
高い利回りを追い求めるのは良いのですが、リスク管理もしっかり考えておきましょう。